成りあがり 〜屈辱と戦略〜

19歳/男子/二宅浪ニート

東大成りあがり 2話

センター試験まで4ヶ月。本試まで5ヶ月。センター試験さけ上手くいけば合格すると確信したのは英語である。未だ、中学校の教科書の裏の単語まとめを覚えて高校の導入程度の単語を覚えた程度だが、鉄壁をしっかりとこなせば問題ないのが東大英単語らしい。合格者体験談を読み込んで到達した。騙されたと思って50日間で暗記する。

 

そして文法だ。英単語と文法が揃って初めて英語が読める。第二言語はそんなもんである。とネットサーフィンから導き出した。苦笑

 

フォレストを読み込む。ひたすら。

 

 

東大で成りあがり 1話

 

 

生まれは決して良くない。父は建築現場の作業員である。家族で大学出は居らず、気づきを与えてくれる大人が居なかった。半ば強引に生まれた時からこの狭い街で一生を暮らし雇われて生きていくことを決められている様だった。同級生が中卒で就職、出産というのは今考えると驚きだが、その頃は当たり前だと思っていた。それが私の最大限の想像力、知識。総動員してもそれがおかしいことというより当たり前だと思う。何となく楽しい日々を生きて大人になって後悔することがある。いや後悔しても出来なかったであろうと諦める。それは勉強。

いくらスポーツをやってもプロになれる人数は決まってる。もともと数の決まってる椅子とりゲーム。たまたま何かの縁で勉強せずとも成功する例がある。が、それは偶発的な要素がある。

必然的に成功する、そして目の前にある閉塞感を打開するにはどうしたらいい?

父は毎日疲弊して帰ってくる、空気が重い。母も働いて家事を一身に背負う。家庭が暗い。それをまた自分のまだ見ぬ子供にも味わわすのか?私が子供の頃、よく給食を滞納した。恥ずかしかった。祖母がなけなしのお金でこっそり渡してくれた時、涙が止まらなかった。

 

勉強で成りあがれる、そして塾や予備校にさえ通わなければok。猶予は半年。そうした環境をありがたいことに整えて貰えた。ゼロからのスタート。単語は中学レベルからである。(正確に言うと先月から始めた為、基礎はクリアしたつもりだ)勉強をし始めた時、三角形と円の面積の公式が曖昧だった程度の学力だ。高校は卒業してはいるものの忘れればその程度である。成績は良くなかった。最下層に入りそうな域だ。

 

それでも私は気がつけた。今なら成りあがりのチャンスがある。気づいたことで一歩。下流はこれを30代前後が気づく。なぜか下流の私だが父の小さくなった疲れ切った背中を見て気がつけた。あとは努力。

育ちのいいやつ、小さい頃から自然と恵まれてるやつはできて当たり前だ。気づいてる。努力するべきルートがある。やるのが普通。

もう言葉は汚くてもいい。俺らはぼんやりと楽しんで生きて普通。勉強なんかやらないで、ダサいと思ってるのが普通。中卒、高卒就職、それさえもせずに未来があると期待して大学に行くのが普通。

でも俺らの普通では一生、貧乏人で一生、上流の奴らが作ったルールの上で生きる。

 

何が違うか?ただの育ち、環境。それさえも打ち破れなくては何の意味がない。俺たちはもっと幸せに生きたい。と願っているはずだ。

 

東大に受かれば成りあがりの一歩。大金星をあげてやるのだ。